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たった3年新聞社でバイトしただけの私が『クライマーズ・ハイ』を見て泣いてしまう理由

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おはようございます。あやなです。

勤労感謝の日ですね。今日は全く働かず、家からも出ずにひたすら映画を見て、本を読んでいたらいつのまにか外が暗くなっていました。お休みの日の1日って早い!

働くのは好きです。実家が店をやっていたからでしょうか。働くということが、自然とからだに染み込んでいるのだと思います。小中高では生徒会活動、大学ではバイトに勤しみ、現在は言わずもがな会社勤めをしております。

その中でも一番働いたといえるのは、新聞社で編集アシスタントを務めていた3年間でした。アシスタントといっても大学生限定の有償インターンのようなもので、やっていたのは雑用です。電話の取り次ぎですとか、新聞のスクラップ、FAXを送ったり、刷りを配ったり、大量の鉛筆を削ったり。夕方の17時から長いときは翌3時まで編集局で働いていました。

 

クライマーズ・ハイ』を観ながら、荒っぽい記者たちを見ながら、当時を懐かしく思い出します。紙が積まれたデスク。ひっきりなしに鳴り響く電話のベル。その気はなくとも、常に喧嘩を売り買いしているような会話。ふふ、と笑ってしまいます。

外出時にポケベルで連絡をとっていたり、デスクにパソコンがまったく載っていないことなど、時代を感じるシーンはたくさんありました。携帯電話とパソコンとプリンターなしで記事を書いていた時代の記者さんは本当にすごい。勿論、今の記者さんやデスクの仕事ぶりもすごいんですよ。長らく拝見していると頭の回転が半端じゃなく速くて、会話のスピードについていくのが精一杯でした。

クライマーズ・ハイ』を観ていて一番懐かしく思えるのは、記者を演じる役者の話し方なのかもしれません。常に早口で、怒ってもいないのに怒っているような口振りで、皮肉屋で。

日航機墜落事故を題材にした地方新聞社の格闘を描いた映画『クライマーズ・ハイ』。

堤真一演じる主人公の悠木は、北関東新聞社の記者です。有能ながら部下を持たず、遊軍記者として働いています。新聞社において、少し異質な存在です。そんな彼が日航機墜落という地元で起きた大事故の全権デスクに任命されます。

ストーリーのネタバレは極力避けますが、この映画における悠木の記者人生は、うまくいかないことだらけです。いや、彼の人生そのものがうまくいかないことだらけだと言ってもいいくらいだと思います。衝突があってハラハラさせて、なのに、うまくいかない。上司との衝突は勿論のこと、悠木を信じてついてきた部下を失望させ、怒りをぶつけられることもありました。見ていてもどかしい気持ちになるほど、悠木は熱く、しかしながら慎重な男です。

この映画を見るのはおそらく、今回で五度目です。普段から映画を観る習慣のない私にとって、こんなに何度も自分から好んで観た映画はないような気がします。*1

ふと、観たいなぁと思える映画です。爽快感を得たいわけでもなく、懐かしさを感じたいわけでもなく、滝のような感動に打たれることもないこの映画を好きな理由は、何なのか、自分でもよくわかりません。

 

高い山を登ったことがないので、クライマーズハイの感覚はわかりません。

また、長い距離を走り続けたこともないので、ランナーズハイの気持ちもわからない。

味わってみたいとは思います。その、最高にハイな気分を。

堺雅人演じる佐山、尾野真千子演じる玉置、滝藤賢一演じる神沢など現場を駆け抜ける記者は一同にハイなテンションでした。顔は冷静なままでも口振りでスクープを掴んだ興奮も、記事にかける熱量も伝わってくる。

けれど、悠木はそこに必ずブレーキをかけるのです。「チェック、ダブルチェック」と何度も口にして。悠木はハイなままに動けない。臆病者だと罵られたとしても、です。

報道者として生きる彼の信条が、もどかしくてかっこよくて、ついつい何度も観ては泣いてしまいます。「チェック、ダブルチェック」検証に検証を重ねて、熱くなっているときこそ冷静に。

 

あの頃同じ編集局にいた、記者さんやデスクさんともっといろいろな話をしてみたかった。小娘だった頃の私は常に怒っているような、早口の彼/彼女らを怖いと思うことしかできなかったけれど、もっと意志を持って話しかけてみればよかったとも思うのです。

昔の写真を掘り起こしたら、満期の日に貰った花束が出てきました。

「寂しくなるなぁ」ボソリと言ってくださって、ぽろっと一粒涙が零れたのを今でも覚えています。

クライマーズ・ハイ』を観ていても懐かしさは感じない。私は記者でもなんでもない、ただの雑用でしたから。

けれど、なんだろう。

悠木のような報われない記者が、ずっとあの埃臭いオフィスに存在し続けていてくれますように、と願ってしまうのです。

 

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本日の起床時刻

10:35(その後二度寝)

朝ごはん

ちゃんぽん作った

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*1:あぁ! すみません、一本だけありました! 「容疑者Xの献身」!  あれは劇場で2回、テレビで2回観ました。つまり、堤真一が好きなんです。