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【第33回】拝啓、二次元にお住まいの初恋の君へ

おはようございます。あやなです。

最近胸キュンしてますか?

私はしてません。長らくしてないを通り越して、人生28年でときめいたことがあるか不安になってくるくらい、してません。

付き合う妄想より振られる妄想の方が数億倍興奮するたちです。こじらせてるなぁと言われます。素敵なロマンスグレーのおじさま(銀縁眼鏡/白シャツ/ワインレッドのニットベスト着用)に「君にはまだ早い」とかよくわからない理由で振られたい~~~!!!   冷たく微笑まれたい~~~~!!!!

しかし、実はこんな私にも、昔は本を読んで「うわぁ~、こんな恋愛してみたい!!!!」と床をローリングした経験があるのですよ。枕を涙で濡らした夜もあったのですよ。

小学6年生の秋、たぶんあれは初恋でした。

和夫くん。

しばらく会っていませんが、彼のことは、一生忘れられないと思います。

 

「ユーレイと結婚したってナイショだよ」という本をご存知ですか?

私がこの本に出会ったのは、地元の図書館の児童館でした。入口の文庫コーナーの中にひっそり紛れていました。あのラックのラインナップは主に講談社青い鳥文庫が並んでいて、児童向けだったはずなのに、私が最初に読んだのはエラリィ・クイーンの「十字架連続殺人事件」(今になって調べてみると、「エジプト十字架の謎」と訳されているものが多いようです)で、結構衝撃が大きかったのを覚えています。ホームズ、ルパンを読み終え、図書館のアガサ・クリスティをほぼ制圧し、江戸川乱歩やエラリィ・クイーンに手を出す……あの頃の私は順調にミステリファンへの道を歩み始めていました。

だから、すっかり黄ばんだ文庫の「ユーレイと結婚したってナイショだよ」を手に取ったのは、何かのお導きだったとしか思えません。初版の刊行は私の生まれた1988年。運命を感じます。

簡単にあらすじを書くと……。

主人公のふーこは適当に唱えた呪文でユーレイの和夫を呼び出してしまう。薬指には金色の指輪!  なんと、ふーこはユーレイと結婚してしまったのだ!  離婚する方法は一つ、「ふーこが和夫を好きになること」ーー。ふーこはユーレイと離婚できるのか!

すげえ。すげえ話ですわこれ。

改めて今考えてみると、なんてめちゃくちゃな!  って感じです。

著者は「赤い実はじけた*1」で有名な名木田恵子さん。シリーズは全14巻。人間であるふーこと、ユーレイの和夫くんが障害を乗り越え、絆を育んでいくラブストーリーです。

「ユーレイと結婚したってナイショだよ」のネタバレにもなりますが、ふーこは和夫くんのことを本気で好きになって離婚しちゃうんですけど、離婚したらユーレイの和夫くんには会えなくなる……。皮肉なものです。好きでないときは四六時中くっついているのに、本気で好きになったら会えなくなるんですから。

2巻以降のふーこはユーレイの和夫くんに会うために、心霊現象を研究するクラブに入ってみたり、幽霊列車に乗ってみたり、ユーレイとの絆を試す試験を受けてみたり、と、和夫くんに出会って身に付いた霊感と愛ゆえの行動力をバリバリ発揮し、なんとか和夫くんとの恋を貫こうとします。運命の恋を前に、人間もユーレイも、小学5年生という若さも、関係ないと言わんばかりの熱量です。

シリーズは後半に進めば進むほど、シリアス展開に。児童書なのに完璧にメロドラマです。しかし、面白い。

私はこのシリーズ11巻の「知りあう前からずっと好き」が一番好きです。シリーズ最高傑作だと思います。読みながら超泣きました。

ふーこがタイムスリップできる写真を使ってユーレイになる(つまり死ぬ前の)和夫くんに会いに行き、彼の死を食い止めようとする話です。

 

こうして考えてみると、ふーこの行動力が半端じゃないのですが、和夫くんも和夫くんで、時折霊界の掟を破っては、霊界に近づこうと無茶ばかりするふーこのピンチに駆け付けてくれます。そのために折檻を受けたり、他の女の子と結婚させられたりもするのですが、一途にふーこを好きで居続ける……。

少年のようないたずらっぽさ(ふーこより1つ年上の小学6年生だから、正しく少年なのですが!)を持ち合わせながら、どこか達観した(そりゃあ達観もしますよね。ユーレイなので)男の子。こんなユーレイと結婚してしまったらふーこちゃん、この先人間と恋なんてできないのでは?

ピンチのときも必ず、爽やかな笑顔でふーこの元にやってきてくれる和夫くんが王子様すぎてですね。ユーレイのくせに超かっこいいんです。和夫くん。かっこよすぎて将来息子が生まれたら和夫って名前にしたいと思ってました。よく考えたらユーレイなので縁起でもないのですが。

まさに初恋でした。あんなに本の中のひとを好きになることってないと思います。

私だって……私だって、和夫くんと結婚したかったよ!!!

 

ふーことユーレイの文庫版はどうやら絶版になっているようで、新刊で入手することはできません。また和夫くんに会いに行きたいのだけれど、このまま会わない方がいい気もしています。

大人になった私は小学生の和夫くんを見て、やっぱりかっこいいと思えるのかしら。こんなに子供っぽかったかなと幻滅するのではないかしら。

初恋は初恋のまま、ZIPして冷凍保存していた方が幸せなこともある。鮮度を保っておくために。

ですが、もし図書館や古本屋の片隅で、恋人と笑いあう彼の姿を見かけることがあったら、思わず手に取ってしまうでしょう。

無茶ばかりするふーことユーレイの、がむしゃらな恋路を微笑みながら見守るでしょう。

胸キュンしてますか?

二次元に恋したことはありますか?

私の初恋、比村和夫くん。いつかどこかで会えますように。

 

というわけで、本日のテーマは「二次元の初恋」でした。みんな絶対いると思うんですよ、二次元在住の初恋の相手。この記事を読みながら思いを馳せていただけたら幸いです!

よし、皆さん、いってらっしゃいませ(*´-`)

 

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本日の起床時刻

5:54(悪夢を見ていて飛び起きた)

朝ごはん

コンソメスープ

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*1:しかしながら私は教科書で「赤い実はじけた」を読んでいない小学生です