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【第78回】福岡歴丸10年を迎えたOLが告発する、福岡の傲慢さについて

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おはようございます。福岡在住のただのOLこと、あやなです。

気づけば春です。

周りがみんなトレンチコートに着替えていることに驚きを隠せません!!

うっそだぁ、私まだウールのチェスターコート着てるよ!  体調崩して寝込んでる間に、明日から4月です!  そんなの聞いてないよ!!

 

さて、本日3月31日をもちまして、福岡歴丸10年を迎えます。10年前、2007年3月31日は土曜日でした。引っ越しに最適な日程だった記憶があります。

私が故郷・長崎から単身で福岡にやってきたのは、大学に進学するためです。大学まで自転車で15分。敷金礼金なしの家賃3万円。インターホンもなければオートロックもない。ベランダすらない木造アパート。隣の部屋からは、夜風に乗って熱い弾き語りが聞こえてくる。

二面ある大きめの窓から、朝日がたくさん入るところが、唯一の長所でした。

そんな6畳一間のおんぼろアパートから、私の福岡人生はスタートしました。

10年も福岡で暮らしているのかぁ、いい加減長いなぁ。

故郷でも何でもないこの地を、早くも私は最後の地にしようと決めています。勿論、最期を迎えるのはまだまだ先ですが。福岡での就職を決めたとき、心を固めました。

今はそれくらい、福岡が好きです。

でも長らく私は福岡が嫌いでした。一刻も早くこの土地から逃げたいと思っていました。大学在学中の4年間、留年してからの2年間、10年の内、計6年は嫌々福岡に住んでいたことになります。

 

なぜ福岡がそんなに嫌だったのか。

そして、なぜ定住の決意を固めるほど福岡を好きになったのか。

それは、私にとって福岡が

あまりに眩しすぎる街だったから

に他なりません。

 

九州の、とりわけ地方出身の人間にとって、「福岡」は憧れの街だと思います。街の規模も人口も、圧倒的に九州でナンバーワン。全国的に見てもトップに入る大都市です。

そんな福岡は、ナチュラルボーン王者の風格を漂わせています。

とにかく、自信に満ちた街だと思います。

先月、埼玉からライティング仲間がいらっしゃったときに、福岡の同じくライティング仲間から送ってもらったのだと、福岡のガイド本をご持参されました。

その本の、煽りがもう凄いんです。

この街以上はどこにもない。

福岡、かっけぇ……。(嘆息)

いやね、街ラブ本なんで、このくらい大きなことを謳うのは当然かもしれないんですけど、福岡市民は自分の地元に対して本気でこう思っているのではないかと思うことが多々あります。

たまに、じゃないです。多々です。

福岡について語らせると、熱い!

おすすめのご飯屋さんの話なんて止めどなく出てくるし、山笠だのどんたくだのお祭りも大好きだし、よそから来た人を手厚くもてなしてぐずぐずにしてしまうくらい、とにかく地元愛とホスピタリティに溢れた人ばかりなのです。

そのくせ、地元の悪口もバンバン出てきます。

 「天神駅から天神南駅までが遠い」と文句を言うと張っ倒されると思います。たかだか10分の、しかも地下街の移動を面倒がるな!

「バスの移動が不便」なんて言うと、激怒されると思います。天神-博多間は時刻表を見なくても来たバスに乗ればいい!

「天神のランチは1000円くらいするし、高い」1000円程度で高いとは何事だ!

まったく、贅沢な悩みです。

しかしそんな悩みを抱えることができるのも、王者が王者たるゆえんなのかもしれません。王様は自分が王であることを疑ったりしません。

実際、こんなやりとりもありました。

「シメサバ?  どうしてサバをシメる必要があるの?」

「福岡人はマリーアントワネットか?」

先日も飲みの席で東京から来た方に突っ込まれました。生のサバを食べられる贅沢を贅沢だと思っていません。それが当たり前だからです。

「当たり前」のハードルが高い自覚すらない、だからこそ福岡は王者の風格を漂わせることができます。

鷹揚という言葉がこれほど似合う土地を、住人たちを、私は知りません。

 

逆に私が長らく福岡を好きになれなかったのも、そのせいでした。

福岡の鷹揚さが、私の目には傲慢に映って見えました。

福岡という土地が輝けば輝くほど、人が優しければ優しいほど、自分がどんどん惨めになりました。夢を抱いて上京して心折られる大学生の物語なんて腐るほどありますが、そういった映画や本で語られる東京よりも福岡はひどく優しく温かく、それだけに余程寂しくなりました。いっそのこと突き放してほしいのに、決して見放しはしないのです。

「いいくさ、いいくさ!」

良い草でも悪い草でもありません。方言で、「いいよ、いいよ」という意味です。

「やばい!  仕事やり残してきちゃった!」

「いいくさ、いいくさ~!」

「家の窓開けっぱなしだったかも!」

「いいくさ、いいくさ~!」

こんなときに遣います。「そんな細かいこと気にしないでいいよ」「そのくらいいいさ」みたいな用法です。この「いいくさ」という方言に、福岡らしさが表れている気がします。

大学卒業を前に、東京の会社に就職するか、福岡に留まるかの二択を迫られました。私が選んだのは、東京ではなく福岡。毎週のように東京に通って就活していたくせに、あれだけ福岡を離れたがっていたくせに、です。嫌いだった筈の福岡に留まることを決めたとき、私はようやくこの街を好きだと気づきました。

だって、「これ以上の街はどこにもない」から。

福岡で食べるご飯がおいしかった。

博多弁の響きが温かかった。

家賃も安い。海も山も近い。自転車で走ると気持ちいい。帰ろうと思えば故郷にも帰れるし、空港も都市部から10分ほどで着くからどこにだって飛べる。

これ以上の街が他にあるなら、教えてほしいくらいです。

そして何より、私は、福岡から逃げたくなかった。傲慢だと思っていた福岡。それは私の卑屈さがそう見せていただけの幻影だと気づいたから、自分を変えたいと思うようになりました。

惨めな自分を福岡のせいにしたりしない。

この王者たる街にふさわしい人間になりたいと思いました。

 

6年の福岡嫌いを翻してここに居着いてしまった私は今、福岡という王様の足元に屈服する臣下のような気持ちで市民をやっています。

住民票を福岡市に置いていても、住民税を払っていても、依然として福岡は私にとって王者の街です。福岡市民を名乗ると、なんだか無性にむずむずします。10年住んでも、いまだに私は長崎の片田舎からやってきた余所者です。

でも、でも、いつか。

胸を張って福岡の人だと名乗りたい。地元だって勿論大好きなのだけど、ごめんなさい、私は福岡の人間になりたい。

鷹揚として、時に傲慢で、素敵な福岡。

最期のときを迎えるときまでに、笑顔で言えるようになりますように。

「いいくさ!」

って。


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あぁ、今日も飯テロが捗るなぁ!

 

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本日の起床時刻

6:37

朝ごはん

メロンパン

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