【第42回】そうだ、ストッキングを履こう。一人前の女になるために
おはようございます。あやなです。
大人ってなんだろう。いつからか、おぼろげに考えるようになりました。
20才の誕生日、香水を買ったことを思い出します。銘柄はドルチェ&ガッバーナのライトブルー。好きだった男が好きな匂いだと言っていたので、密かに買ってつけていました。当時の私の精一杯の背伸びでした。ライトブルーは一応メンズの香水なのですが、爽やかに甘いユニセックスな匂いで、28才になった今も愛用している香水です。
当時の私は大人の女性というものは、常にいい匂いを漂わせている生き物なのだと思っていました。だから、香水に憧れていた。20才の誕生日に香水を買ったのはそういう理由からです。
ですが、年を重ねるうちに、なんか違うなと思うようになりました。私の知る大人の女性は大体香水をつけていなかったからです。
ほのかに香るのはそのままの汗のにおい。しかしなぜかそれは胸が苦しくなるほどに、かぐわしくも思えるのでした。
じゃあ、大人って何なんだ。女の子が女性に切り替わるポイントはどこにあるんだろう。
長年抱き続けていた疑問に、先日ようやく、答えが出ました。
ストッキングです。
ストッキングを日常的に履くようになったとき、女の子は女性になるのだと思います。
ここでタイツとストッキングの違いがわからない男性陣のために、少々解説を。
タイツとストッキングは基本的に同じものです。タイツもストッキングも、糸を編み込んで作られています。その糸の太さが少しずつ違う。糸が太くなればなるほど分厚くなり、肌の色は見えにくくなるというわけです。糸の太さの単位をデニールといいます。デニール数は基本的に10刻みで上がっていきます。30デニール未満をストッキングと呼び、それ以上をタイツとしています。
ストッキングは脚のファンデーションと言われます。本来持っている肌の色艶を整え、脚をきれいに見せてくれるからです。その代わり、とても薄く、すぐに破れてしまいます。「伝線」という現象が起きます。破れ目ができると線が走るように裂けてしまうのです。
タイツでも伝線は起きますが、デニール数が下がるほど、その危険性が極めて高くなります。
私がストッキングを初めて履いたのは、高校3年生の終業式の日だったかもしれません。それは私が初めて、スーツを着た日。
私の通っていた高校は、3月のはじめに卒業式がありました。2月の終わりに大学入試前期試験があって、まだ合格発表も出ないうちに3年生は外へ放り出されます。
高校生ではなく、かといってまだ大学生ではない隙間の時間を過ごすことになります。
3月の終わり、3年生がいなくなった高校にも終業式の日がやってきます。先生方の離任式もその日に行われる。
3年生はこの日、スーツを着て学校を訪れるのが伝統になっていました。大学の入学式は男女問わずスーツで出ます。その予行演習として、また高校生ではなくなった証として、卒業生は終業式にスーツでやってくるのです。
スーツで現れる3年生にずっと憧れていました。中には髪を染めたり、化粧をしてくる先輩方もいて、私も早く卒業してスーツを着たいと思っていました。
満を持して、卒業。大学にも合格を決めました。入学祝に親に買ってもらうものは、勿論スーツです。
私はダークグレーのジャケットとスカート、それからピンクのストライプシャツを合わせて買ってもらいました。ちなみに、このダークグレーのスーツ、就活でも大活躍しました。(私、黒いスーツが壊滅的に似合わないので……。)
スーツにはストッキング、と相場が決まっています。初めてのストッキングは、履いている最中、盛大に伝線しました。2本目のストッキングは脱いでいる最中に伝線しました。1日に2本もだめにするなんて!
ストッキングって履くのすごい難しいな! 当時の私は思いました。
次にスーツを着たのは、大学の入学式。その後は塾のバイトでもしない限り、スーツなんて滅多に着ません。
ダークグレーのジャケットに再び袖を通すことになったのは、3年後。就活を始めたときでした。
さて、ここまで書いてみておわかりかと思いますが、私はスーツを着ているときにしかストッキングを履いていません。それ以外では足元をどうしていたのか、というと。
夏場はサンダルを履くので素足です。
春秋はフットカバー*1や靴下を履きました。
冬は寒いのでタイツです。
ストッキングは必要に迫られたときだけ履くものだと思っていました。スーツやドレスを着た、ちゃんとした日にだけ。
就職してからもそのスタンスは維持したままでいました。
「あやなちゃんって、いつも生足だね」
会社の先輩社員からそう言われたとき、びっくりしました。弊社では女性社員に制服が支給されています。私は事務服に短い靴下を履くようにしていました。それを見た先輩に指摘されたのです。
「えっ、でも靴下履いてますし。ストッキングすぐ破れるし、面倒じゃないですか?」
「私はもう生足さらせないよ~。ストッキングないとスカート履けないもん」
目から鱗が落ちた気分でした。
ストッキングって、特別な日に履くものじゃないんだ……!
日常的に履いてもいいんだ……!
確かに会社の先輩社員たちは皆ストッキングを履いています。更衣室でするすると器用に履いていくひともいれば、私服からストッキングを合わせているひともいる。
これだ。ここが、ポイントだ。
履きにくいストッキングを日常的に履けることが、大人の女性の条件なのだ。
ストッキングはすぐに破れるし、そのくせ値段もそこそこします。しかし、この1枚の皮膜を通すことによって、脚の見え方は格段に違ってくる。ここにかける手間を惜しむか惜しまないか、なのだと思います。
さらに、生足をさらすことをみっともないと思うかどうか。私はいくつになっても生足をさらして問題はないと思います。が、28才にもなると短いスカートを履くのはそろそろ控えようかな、と心にブレーキがかかるようになりました。落ち着いた服装を好ましいと感じるようにもなりました。
大人になるということ。それは、脚を見せるのが恥ずかしくなってくるということなのかもしれません。
大人の女性は、香水のいい匂いをさせているものではなく、ストッキングの内側に蒸れた匂いを秘めているもの。なのかも、しれません。
しかしまぁ、冬の間は何も考えずタイツを履こうと思います。来年の春からは私もストッキングデビューするぞ!
それでは今日もタイツで働いてきます!
皆さん、いってらっしゃいませ(*´-`)
******************************
本日の起床時刻
5:50
朝ごはん
卵かけごはん
******************************
*1:パンプスを履くときに目立たない仕様になっている足先だけの靴下のこと。