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【第5回】腐るほどいる元カレの話

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おはようございます。あやなです。

 

10月に入ってから、毎日必ず1冊は本に触れて、秋の夜長を過ごしています。

悲しいかな、人間的な深みのなさが私の悩みでして、ほんとに薄っぺらい人生を送ってきたなと自分でも思うわけですよ。7歳から24歳までは学校、その後は会社。それ以外の世界を見てこなかった。

でも、世間には高校生で作家になる方だっているわけだし、人間的な深みは年齢や経験で計れるものじゃない。

「本を読む」ということをいつの間にか疎かにしてしまったのではないかと最近思うようになりました。

今私に必要なこと、それは「乱読」です。

食べ物にも好き嫌いがあるように、本にも好き嫌いがあって、私は好きな作家さんの本ばかりを長年読んできました。1冊好きな本が見つかるとその作家さんの本は出ているもの全部読むくらい。山田詠美さんとか、よしもとばななさんとか、三浦しをんさんとか、伊坂幸太郎さんとか、京極夏彦さんとか、東野圭吾さんとか、江國香織さんとか、辻村深月さんとか……。

一方で新規開拓の努力をせず、一度でも好きじゃないと思った本の作者はなるべく避けて通っていました。

たとえば、私は「星の王子様」という絵本が嫌いでした。理由はよくわからないのですが、読んでいてものすごくイライラしました。「星の王子様」を初めて読んだのは小学生のとき、小児科の待合室でした。熱が出ていてひどく体調も悪くて、最悪なコンディションの中で高飛車な花と王子のやり取りを読んだものですから、嫌悪感しかなかった。

あまり好みでない1冊を読んだからってそれが全てではないし、好きな作家さんの本でも刺さらないことは多々あって。

それでも私は冒険はしたくなかった。

同じ定食屋で毎回同じメニューを頼むように、本を読んでいたのだと思います。

「やっぱり好き!」を繰り返すために。

 

10月に入り、受講している講座で、おすすめの本を紹介し合う課題がありました。

その前に、提出した小説の梗概であまりに自分の中の引き出しが少ないことに絶望し、これはなんとかせねばと思っていたところでした。

元々、好きなものを語るのがあまり得意ではありません。他のひとにとってもそれは面白いのか、自分の感性に自信がありませんでした。何度となく「好き」を否定された経験があったことも影響しているのだと思います。否定されずとも、自分より大きな熱量で「好き」を語れるひとがいたら、私は一歩引いて見てしまいます。

だから、語る方はうまくできた自信がありません。ですが、受講生の皆さんの紹介された文はどれも美しく、かつ熱がこもっていて、本当に素晴らしかった。

全部読みたい。今まで読んだことのなかった作者の話を読みたい。私の知らない世界を知りたい。

思いきって、全部読むことにしました。

現在は一度別れを告げた元カレ、「村上春樹」と再び小指を絡める異常事態です。

 

いや~~~村上春樹。敢えて敬称なしで、村上春樹

村上春樹をこうやって冷静に読める日が来るとは思わなかったよ村上春樹

うじうじしてる理屈っぽい男やだやだ嫌い、突然の性欲どうした、とか言いながらあの頃読んでいた村上春樹。久々に読むとやっぱり村上春樹なんだけど、面白くて紙をめくる手が止まらなかった。短編集だからか、ひとを小馬鹿にするような独特の村上節(あくまで私の偏見です)もソフトに感じられる。でも、むずかしくない一文でここまで深く沈められるのは村上春樹村上春樹たる所以なんでしょうね。いやはや、好き嫌いを脇に置いても巨匠です、ほんとに。

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」は好き。

ノルウェイの森」は好きじゃない。

「IQ84」がブームになったとき、すごい勢いで周りにハルキストが増えて「えー、読んでないの?」と言われるのが嫌だった。ハリーポッターブームのときにハリーポッター読む悔しさみたいなものがありました。流行りに乗ってるだけじゃん?  みたいな、妙な矜持が。

ハルキストに「村上春樹読んでないとか信じられない!」とぎゃんぎゃん文句を言われようが、「いや、私は村上春樹好きじゃないから。お別れしたから。性格の不一致だから」というスタンスでやってきました。こっちから振ってやったと言わんばかりの態度で。

 

気づけば元カレや元カノは年を重ねるごとに増えていきました。それだけ、私が頑なに、狭量になっていたということなのだと思います。反省しかないです。

久々に再会した村上春樹の横顔を、懐かしいような初めてお会いするような、不思議な思いで見つめています。バーのカウンターに並んで、「あの頃の私はばかな子供だったね」と、今なら素直に言える気がします。琥珀色の、冷たくて熱い液体を口に含み、嚥下して。

カウンターには村上春樹だけじゃなく、子供だった私が一方的に別れを告げた元カレや元カノがずらりと並んでいます。

カウンターの端に座った小さな王子様が、こちらをじっと見つめている。彼は何も言わないけれど、私自ら「ごめんなさい」と言い出すのを待っているのでしょう。

 

強い「好き」を持つのは確かに大事で、その対極には強い「嫌い」がいてもおかしくない。情緒の振り幅の大きいひとの方が、魅力的だと思います。

私が恐れていたのは強い「嫌い」を感じること、だったのかなぁ。避けて通ったあげく、気づかずに素通りしてしまったものがあまりに多すぎて。引き出しの少なさも深みのなさも、結局は自分が望んでそうしていたというだけの話。

嫌悪したり、怒ったり泣いたり、理不尽さに胸を潰されそうになったり。引き出しの少なさ、人間的な深みのなさは、強い「好き」より強い「嫌い」を経験しなかったことに理由があるのかもしれないなと思いました。意外とそこにヒントがあって、「なぜこれを嫌いだと思ったのか?」と再考することが必要なのかもしれません。

時を置いて読み返すと意外と「嫌い」じゃなかったりもするので、再考にならないこともありそうですが。まぁ、そのときは焼けぼっくいに火をつけちゃえばいい。

 

以上、村上春樹著「女のいない男たち」を読みながら(タイトルからして昔の私だったら絶対に手を触れてないです)、全く本の内容に触れない感想を述べてみました。

「星の王子様」ともよりを戻せるかしら。

 

ということで、今日も元気に出社します!

皆さんも、行ってらっしゃいませ(*´-`)

 

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今日の起床時間

 5:30

朝ごはん

納豆ごはん

 

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