+1℃が狂わせる
おはようございます。あやなです。
夏生まれだからでしょうか。
生まれも育ちも九州だからでしょうか。
冬が苦手です。
自慢じゃないけど超寒がりです。気温が20度を下回ると一気にパフォーマンスが落ちるポンコツです。ウールのチェスターコートとマフラーがわりの大判ストールを引っ張り出してきました。まだ早いと言われても寒いもんは寒いし、寒いのは我慢できません!
とはいえ、うだうだと文句を連ねても冬は今年もやって来るし、どんなに寒くても会社に行かないといけないし、働かねば食べていけないのが現実です。
お金のためだけに働いていた5年前の冬、寒がりを克服する荒療治を受けて、雪の降り積もる帰り道すら温かく思えたことを思い出します。
5年前の私は、
3℃の冷蔵庫の中で鍋セットを作るバイトをしていました。
「労働厨」とあだ名されるほどバイト狂だった学生時代の私は、新聞社の事務や書店員、論文の添削、居酒屋のホールスタッフといろんなバイトを掛け持ちし、渡り歩いていました。その中でも最も過酷だったといえるのが「お歳暮の短期バイト」でした。
肉体労働らしい肉体労働は初めてでした。その前に働いていた書店で女上司に目をつけられ、いびられて辞めたために、人間関係を築く必要がなく頭も使わない仕事を探していたところ、このバイトを見つけたのでした。
1ヶ月、冷蔵庫の中でお歳暮用鍋セットを作る仕事をしました。朝から晩までラインの一人として凍った鶏肉を詰め続ける日々。あ、勿論休憩はあるし、途中で常温庫での仕事とバトンタッチしたりもします。それでもバイト代が生活費に直結していた貧乏学生は時給の高い冷蔵庫内の仕事を積極的に引き受けました。
人間のからだって本当に不思議です。寒がりで冬の朝はなかなか布団から出られなかった私が、冷蔵庫で働いているうちに、次第に変化していきました。
かじかんで感覚を失った指で、必死で凍りついた鶏肉を箱に詰めていると、ふと温かさを感じる瞬間があるのです。
はっと顔をあげると、なんと。
冷蔵庫の中の温度は4℃になっていました。
新しい具材の搬入で開けっぱなしになっていたドアからすかさず、常温の空気が入ってしまったからです。そのときの私が考えたこと。
4℃ってあったかいんだ!! すんごい!!!
……完全に正気を失ってますね。
3℃も4℃も違わないよ、って思うじゃないですか。違うんです。明らかに、明確に違うんです。人間のからだって、1℃の上昇にここまで敏感になれるんだと思いました。
帰りも外は10℃を切る気温なのに自転車に乗っているだけで汗をかいたり、コートとマフラーを暑く感じたり。
あのまま冷蔵庫で働き続けていたら、私はどうなっていたのでしょうか。からだの隅から隅まで別人になっているのかもしれません。
あの日々のおかげて冬は苦手ながら、寒い日だって毎日自転車で会社に通えているのだと思います。寒さの中でも動ける自分を知ってしまったから。
4℃だって温かく感じられる氷付けの世界。
仕事は過酷だったけれど、あの世界でしか経験できない気付きを得て、貴重な1ヶ月を過ごしたなぁ、と思います。
毎朝寒さに耐えながら自転車通勤を続けられるのは、あの1ヶ月があったおかげです。
たまには荒療治も必要ですね。
とはいえ、もうあの日々には絶対に戻りたくないですね!!